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白人対白人の仁義なき戦い!トランプ勝利の原動力はアメリカ人種問題

アメリカの格差問題は以前の記事でも論じたが、
今回はその格差が人種問題とどのように関連付けられるかを語りたい。

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邦題の問題点

この記事の中で、
Coming Apart: The State of White America, 1960-2010という本を紹介した。

jp.wsj.com

原題の「Coming Apart: The State of White America, 1960-2010」は、
邦題では「階級「断絶」社会アメリカ:新上流と新下流の出現」と訳されたが、
The State of White America(白人アメリカ国家)の部分は、訳されなかった。

階級「断絶」社会アメリカ: 新上流と新下流の出現

階級「断絶」社会アメリカ: 新上流と新下流の出現

抜け落ちる人種への眼差し

格差が問題になっている日本で、
「階級「断絶」社会アメリカ」という題の方が売れるのは理解できる。

だが「バラバラになる:白人アメリカ国家」という文字通りの直訳を失ったことで、
現代アメリカが抱える複雑な人種問題が見えなくなっている。

米国の原動力としての移民

私は以前の記事で、アメリカ没落論を論じ、
少なくとも2050年ぐらいまではアメリカは没落しないだろうと書いた。

kbooks.hatenablog.com

その最大の理由は、アメリカが移民社会だからだ。
トランプを支持するような白人労働者階級は、残念ながら没落するだろう。

白人労働者階級の没落

今、私たちが目の当たりにしているのは、
そのようなアメリカの白人労働者層の必死の抵抗なのだ。

白人の優位性喪失に対する抵抗

白人の優位性喪失に対する抵抗は、何も労働者階級に限ることではない。
富裕階級、そして驚くことに知識階級にも遍満している。

1990年代以降、アメリカの人文学系知識人(ほぼ白人しかいない)に
「西洋への回帰」(the Return to the West)とも呼べる現象が随所に見られた。

グローバル化への抵抗としての民族主義

(アメリカにおける「西洋への回帰」現象については、
以下の本に収録されているコーネル大学教授酒井直樹による論文が詳しい)

>VII 「西洋への回帰」と人種主義─―現代保守主義と知識人
>人種主義と主体の構制/無徴の場所としての「西洋」/保守主義の台頭と「西洋」
>[付]人種主義に関する提言

これは太平洋を挟んだ日本での「東洋への回帰」や「日本への回帰」と
まるで合わせ鏡のような対称を示している。

結局は以前の記事で論じたように、トランプ旋風とは、
グローバル化から取り残された白人労働者層の民族主義運動なのだ。

勝ち組と負け組の白人

グローバル化の先端を走るように見えるアメリカの白人達も
その波にのった勝ち組と、落ちこぼれた負け組に2分されている。

そしてトランプ支持者の圧倒的多数が大学に行かなかったという統計が示すように
その両者を分けるものこそが、大学教育なのだ。

勝ち組と負け組を分かつ大学教育

しかし、以前の記事で論じたように、アメリカの教育現場では、
日本では考えられないような大きな不平等の格差が生じている。

kbooks.hatenablog.com

結局4年間で2400万円にも上る学費を払えるような裕福な家庭の子供でなければ、
今のアメリカで良質な教育を受けることは難しい。

kbooks.hatenablog.com

白人対白人の仁義なき戦い

今回の選挙で格差問題が大きな焦点になっているのは、
勝ち組の白人達に対する負け組の白人達による憤懣の表れなのだ。